おとうさんとおふろ



単身赴任先の私の部屋に、娘のひよこがやってきた。
月のうち何度かの週末、娘は妻のもとを離れ、私の所に泊まりに来る。
小学校も中学年になった娘だが、まだ、幼さが残っていて、髪型のせいもあるが、
一見男の子か女の子か区別がつかないほどの見た目だ。

上がり込むと同時に、奥の部屋に駆け出す。
赴任先のマンションは一人で住むには広すぎるので、一つの部屋をひよこ専用にしているのだった。
床置き式のソファベットに、クッションの効きを楽しむように小さな体を投げ預ける。

「パパ、ちゃんと綺麗にしてくれてるのね、ひよこのお部屋」
以前はし放題の散らかしっ放しだった私のマンションが、常に整理整頓されるようになったのは
こうやって、ひよこが私の所に来てくれるようになってからだ。

単身赴任になってから、もう2年。今は数カ月に一回くらいしか、妻とは会っていない。
妻も働いていて、何かと忙しく、あまり娘をかまってやる事も出来ていないようだ。
こうやって週末にひよこが私の所に泊まりに来るのも初めは妻が言い出した事だった。
お互いの事は口に出さないでいることが、今の私達夫婦の関係を長く保つ秘訣だと思っている。
妻に対する愛情の埋め合わせをするように、ひよこには、男親が娘に対する以上のものを感じていた。
そう‥‥‥それはもう、、、、父親と娘の関係ではなく、、、、、、

「ねぇねぇパパぁ?今日は何しょっかぁ〜?」

ひよこの舌足らずな声が、私の思考を中段させた。
くりくりと瞳を輝かせて私を覗き込む。

「ん、、そだな?まず一緒におフロ入るか?」
「うん☆」
娘はこっくりと頷くと、ぱたぱたと足音をたててバスルームに消えていった。

少し遅れて脱衣所に入った私は、服を脱ぎながらドア越しに声をかける。
「どうだ?湯加減は?」
「ねぇ〜、パパぁ。は〜ゃ〜くぅ〜♪」
娘が私を呼ぶ、愛らしい声が中から響く。

ドアをくぐると洋式のバスタブの中。浅めに張ったお湯に浸かっているひよこの姿が目に入った。
お気に入りのシャンプーハットを付け、アイスキャンデーを頬張っている。
大きく足を広げ、私を誘うように少し悪戯っぽい視線を投げかける。

私は無表情を装いながらバスタブの脇に在る椅子に腰掛けた。
風呂場の中には様々な大人のおもちゃが並べてある。
勿論ひよこの為に私が用意した品だが、普段は脱衣所の棚に仕舞っていた。
どうやら、、、遊んでもらいたいおもちゃを、ひよこ自身で選んだらしい。

じっと娘は、私の動作を見守りながらアイスキャンデーをほおばり続けた




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