-- 恥的生命体『ぬか』 --



「いっただきま〜す」
れんちちゃん、朝から食欲旺盛のようです。
ほっぺたに御飯粒を付けながら、ばくばくと卵かけ御飯をかき込みます。
「むしゃむしゃ。れんち、これ、もうちょっと落ち着いて食べなさいむしゃむしゃ」
れんちちゃんの祖父である博士が漬け物を食べながら声をかけました。
珍しく二人揃っての朝食です。
「ふ〜んだ」
れんちちゃん、博士の忠告にお構い無しに海苔のつくだ煮を卵かけ御飯に混ぜて食べ始めました。
「つっふぁく、、、むしゃむしゃ」
そうゆう博士のほうも決して行儀がいいとは言えない食べっぷりですが、、、
「ん、それ取って」
「ほ、、」
博士かられんちちゃんに渡されたのは自家製の漬け物の乗った小皿です。
「ポリポリ、、ん〜、相変わらずいい塩加減、、ポリポリ…‥」
「うむ、これはワシにしか出来んからのぉ〜ポリポリ」
「あたしじゃ出来ないの?コリポリ」
「うむ。糟床には菌が生きておっての、モグモグ。違う人間がかきまぜると菌が死んでしまう事もあるのじゃポリポリ」
「ふ〜ん、、でもやってみないとわかんないじゃんポリポリ」
「わしの糟床は特別製なのじゃ、くれぐれも触ってはならんぞ、コリコリ」
「あ〜い。。  ふぅ、。ごちそ〜さま」
おなかいっぱいになったれんちちゃん、お茶碗に向けて一礼。
「お、、そうじゃった。れんち。わし、また出かける事になったのじゃ」
「ん?今度は何?」
「いや、研究仲間と新年会での、、、帰りは、、その、、多分2〜3日先かとぉ、、ゴニョゴニュ、、、」
「また、、温泉行くんでしょ?」
「ぎく」
「んでもって芸者呼んで、、『よいではないかゴッコ』とかしたり、、、」
「ぎくぎくぎく」
「んでもってそれに飽きたら温泉街のストリップ小屋に行って、、、」
「ぁああ〜何でそれを知っておるのかな〜この娘は、、、ええではないか〜年に一度の遊びじゃし、、」
「な〜にが年に一度よ!こないだだって忘年会とか同窓会とかヌかして行ったっきり暫く帰って来なかったじゃない!」
「ぁ〜、、解ってはもらえんかのぉ、、この年寄りにはそのくらいしか楽しみがないんじゃて、ゴホゴホ」
「ぁ〜も〜うっとおしい〜、下手な演技してないでとっとと行っちゃいなさい! って、、また土産温泉まんじゅうだけなんて言ったら、、、」
「はいはい解っておりますです。今度はもう少し気の効いたモノ買って参りますはい」
まるで追い出されるような格好で博士は出かけました。
もうちょっとお爺さんに優しくしてやってもいいんじゃないですかね?れんちちゃん?
「ないない。」
そうですか(^^;)

学校も休みなので、暫くたいくつになりそうです。
とりあえずれんちちゃん、台所のおかたづけ。
お爺ちゃんがいる時は何もしないれんちちゃんですが、ちゃんと食事も作れれば家事は全部一人でこなせます。
流しでお皿を洗いながら残ったぬか漬けをもう一口。
「ん〜、やっぱコレだけはどうしてもれんちには出来ないな〜」
自分が作る料理とお爺ちゃんのとでは結構いい勝負なようですが、流石に漬け物に関してはお爺ちゃんが勝るようです。
「浅漬けくらいだったらまだ互角なんだけど、、ポリポリ」
ふいにれんちちゃん、一案を思い付いたようです。
「そだ、、ぬか床って他人が触ると死ぬ、、とか言ってたっけ、、、ふふふ。」
また何かいけない事考えてませんか?れんちちゃん?
「それさえ潰せは、、、れんちの独断場よ。この漬け物が食べられなくなるのはちょっと惜しいような気もするけど、、
 それにもしかしたられんちのほうがおいしいのが出来るかもしれないし‥‥‥」

食器を洗い終えるとれんちちゃん、お爺さんの研究室に向かいました。



◆-- つづく--◆


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